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ソウル 視聴者の苦言に救い

2018年08月23日

 大モニター画面が設置され、数百人のサポーターで赤く染まったソウル市役所隣の広場が、歓声に包まれた。サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で、韓国が世界ランク1位のドイツを破った瞬間だ。

 2連敗だった前日までは「進歩のない韓国サッカー」とお通夜のようだったが、この一勝で雰囲気が一転、メディアは「16強より価値ある勝利」などと報じ、お祭り騒ぎになった。極端ではあるが、こうした情熱的な韓国人らしい受け止め方はある意味、気持ち良くもあった。

 一方、日本の動向はやはり気になるもよう。試合の内容と結果はニュースで放映され、放送局によっては解説者の分析までつく。長所、短所や対戦相手との相性に対する指摘はよく研究されていて、聞きながら膝を打つことも多かった。

 だが、残念なことも。公共放送の解説者が、日本-ベルギー戦で逆転ゴールを決めたベルギー選手に「ありがとう」と発言したのだ。解説者は後に謝罪したものの「本能を隠せなかった」とも述べた。救いは、この解説に対して「不公正だ」などと苦言を呈した視聴者たちがいたことだろう。 (上野実輝彦)