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ヘルシンキ 自由な報道のある国

2018年09月13日

 この2人となると、素直に歓迎というわけにはいかないのだろう。トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領の首脳会談の開催地となったフィンランドのヘルシンキでは、道路脇の広告や宣伝が面白かった。

 自身に否定的な報道を「フェイクニュース」と決めつけるトランプ氏と、大手メディアを支配下に置いて批判を封殺するプーチン氏。地元紙は両氏の車列が通る道沿いに、英語とロシア語で「自由な報道のある地にようこそ」との広告を出した。

 「人権を再び偉大に」とトランプ氏の決め台詞(ぜりふ)をもじった団体、フィンランド語で「乾杯」の「キッピス」にちなみ「キープピース(平和を)」と横断幕を出すホテルもあった。

 フィンランドは欧州連合(EU)加盟国だが、北大西洋条約機構(NATO)は非加盟。領土を接するロシアとも関係が近いという中立性が開催地になった理由といわれた。

 一方で、フィンランドは世界の報道自由度ランキングで4位と、もの言う国でもある。首脳会談の最中もプレスセンター前では反対デモが続いていた。「フィンランド人は中立ではないぞ」とのプラカードが、すとんと腹に落ちた。 (栗田晃)