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韓国・鉄原 動物も脅かす地雷原

2018年09月15日

 「この鉄条網の向こう側の小さな森は地雷原です」

 朝鮮戦争の休戦協定が結ばれて65年の日の翌日、7月28日に南北軍事境界線近くの鉄原(チョルウォン)で安保観光ツアーに参加した。民間人統制区域は地元の人が手掛ける田んぼが広がるが、すぐ横に地雷原がある光景は戦争状態という現実を物語る。

 この地雷、朝鮮戦争の際に埋められたとばかり思い込んでいたが、ツアーガイドによると、その後のキューバ危機や北朝鮮兵士の韓国侵入事件などの際にも膨大な数が埋められた。公式には軍事境界線から南北2キロ、実際はもっと狭いという非武装地帯(DMZ)には、数100万個の地雷があり、世界で最も密度が高いともいわれる。

 長く人の手が入らなかったDMZは、絶滅危惧種を含め2700種類の動植物が生息する自然の宝庫。だが夜間、イノシシなどが地雷を踏んだと思われる爆発音が聞こえるときがあり、動物たちにとって楽園とはいえないようだ。

 平和協定が結ばれて、DMZが必要なくなっても、地雷の撤去には相当の時間がかかるだろう。本当の「終戦」は遠いことを実感した。 (境田未緒)