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北京 究極の品選びに驚き

2018年10月26日

 仕事帰りに、自宅近くのスーパーに食材のまとめ買いで足を運んだ。当地では野菜はばら売りし、客が自分でひとつひとつ吟味して、はかりに掛けて買うのが主流だが、袋に入れて定額で販売している物もある。

 4つのトマトをビニール袋に納めて5.4元(約90円)で売っている陳列棚を見つけ、品定めをしていると、中年の女性が隣に並んだ。「えっ」と声を上げそうになった。袋を次々に破り、取り出したトマトの中からお目当ての品を探し始めたのだ。午後7時すぎ。場内には客も少なくなかったが、女性に悪びれた様子は全くない。

 「一体どうするのか」と気になって、その場を離れていった女性の姿を目で追った。彼女は野菜の重量を量り、価格タグを付けている所にトマト5、6個を持って行き、はかりに掛けてもらっていた。

 レジに向かう途中で女性の行動の「謎」が解けた。ばら売りトマトの方が単価が安かったのだ。つまり、女性はより高額のトマトを安価で購入していたわけだ。これぞ、究極の品選び! 「庶民の知恵」と言えなくもないが、だめだろ。でも、レジを通っていった。 (城内康伸)