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米パークランド 銃規制立ち上がる母

2018年12月03日

 米フロリダ州パークランドの高校で17人が死亡した2月の銃乱射事件で、14歳の長女アリッサさんを亡くしたロリ・アルハデフさん(43)が8月、地元郡の教育委員選挙で当選した。

 事件翌日、テレビを通じてトランプ大統領に「お願いだから行動を起こして!」と泣き叫んだ母親。「安全最優先の学校教育に変えたい」。党派対立で遅々として進まない銃規制の現実を前に自ら立ち上がった。

 半自動小銃を乱射した元生徒の男=当時(19)=はインターネットで犯行をほのめかしていた。緊急通報装置や止血キットの設置、保護者の監督責任…。学校を狙った銃暴力が後を絶たない中、銃規制論議と切り離して学校当局が講じておくべき対策も少なくなかった。それがアルハデフさんの見方だ。「賛否が割れる銃規制のための闘いは必要よ。でも私は誰もが賛成する学校の安全対策こそ進めたい」

 事件後、パークランドを離れることもできたが、離れなかった。「娘が眠る地元を離れず、地元から変えていきたい。変えられるはず」。アルハデフさんの胸元で、笑顔のアリッサさんと2人の写真を入れたペンダントが輝いていた。 (赤川肇)