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米ウッドブリッジ ミニトランプ本質は

2019年01月09日

 米中間選挙の上院選で、民主党現職に敗れた共和党新人コーリー・スチュワートさん(50)は、不法移民などへの攻撃的な言動を繰り返すこわもての「ミニトランプ」候補だったが、実際に会ってみた印象は、人当たりの良い普通のおじさんだった。

 選挙中に南部バージニア州ウッドブリッジの自宅を恐る恐る訪れると、スチュワートさんは「東京で英語講師をしていたし、妻との出会いも日本。トヨタ車に乗っている」と自己紹介。「バージニアを再び偉大に」と描かれた選挙カーは、アメ車ではなくホンダ車という日本びいきで、親切にも歴史的建造物の自宅まで見学させてくれた。

 だが、そんな温厚さは、白人ら支持者の前でマイクを握ると一変し、民主党候補に性的暴行疑惑があるような事実に基づかない主張を展開。「不法入国者は米国で子どもたちを殺している」と、トランプ米大統領にそっくりな虚実ない交ぜの発言で国民の不安をあおり続けた。

 普通のおじさんが選挙向けにミニトランプを演じていたのか、心の底に他人種への差別意識を抱えていたのか。どちらが彼の本性なのか今も判断が付かない。 (後藤孝好)