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タイ・チェンマイ 伝統の祭りハラハラ

2019年01月17日

 「インスタ映えする写真を撮影できる」と聞き、11月下旬、タイ北部の古都チェンマイに出かけた。満月の夜、「コムローイ」と呼ばれる紙製の熱気球を飛ばす祭りだ。

 川沿いの会場では、1個50バーツ(約170円)で売られていた。紙を広げると、高さ1メートルほどの円柱形に。底部の固形燃料に点火し、内部の空気が暖められて軽くなり、浮かぶ仕組み。

 夜空に無数のコムローイが舞い上がる。オレンジ色の光を放ち、幻想的な光景が広がっていた。だが、取り付けた花火の火が紙に燃え移り、火の塊となって市街地に落下するのを目撃した。燃料が燃え尽きたらすべてが落ちてくるわけで、翌朝、ホテル周辺を散策したら、あちこちでごみになっていた。

 現地メディアは「タイ東北部でコムローイが原因とみられるぼや騒ぎがあった」と伝えた。ツイッターには「迷惑な祭りをいつまで続けるのか」と批判の書き込みが相次ぐ。

 期間中は夜間発着の飛行機を運休させるといった対策を講じているものの、事故の危険と隣り合わせだ。伝統の祭りを守るのも、いろんな知恵が必要なのだ。 (山上隆之)