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メキシコ・ティフアナ キャラバン行く末は

2019年01月23日

 中米からの「移民集団」(キャラバン)の取材で、メキシコ北西部の国境の町ティフアナに向かった。米カリフォルニア州サンディエゴから車を運転、国境検問所へ。メキシコへの入国は誰かに何を問われることもなく、1分ほどで国をまたいだ。

 米国側へ戻る際は様相が一変する。取材を終え、ティフアナから米検問所へ向かう渋滞は1キロほど。6車線道路では商売人が車列を行き交っていた。メキシカンハットを売るおじさんや手作り菓子を売る女性が切れ目なく往来する。窓を拭いて小銭を稼ごうとする男性も多い。路上ダンスを披露してチップを求める集団も。陽気この上ない。

 検問所が見え始めた。ライフルを持った米国境警備隊員が路上に立つ。気が付けば、商売人の姿はない。ゲートでは係員からメキシコでの滞在場所や目的のほか、米国で何をするのかなどを子細に聞かれた。

 ティフアナの町を出てから米国への入国まで約3時間かかったが、文句を言う気はない。キャラバンは米国を目前にしたこの地で、おそらく数カ月は足止めされ、入国を認められない人も出るだろう。彼我の差はあまりに大きい。 (石川智規)