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北京 塾講師はスマホ疲れ

2019年02月06日

 小・中学生向けの塾で英語を教えている中国人の友人が「もうスマートフォンを捨てたい」とため息をついた。画面を見ると、通話アプリ、微信(ウェイシン)に生徒の親たちからメッセージが次々と送られてくる。

 送信されてくるのは主に生徒が読み上げる朗読の宿題だ。この塾では教師が授業後も微信で生徒とやりとりし、1人1人の宿題を添削するのだという。1クラスの生徒は約10人、教師1人が5クラス以上を受け持つ。「全員分の宿題を聴くとくたくたになる。気を抜くと、すぐに親からクレームがくる」

 中国の受験競争はすさまじく教育産業の競争もまた激しい。友人の微信には、宿題以外にも生徒の親から相談や連絡が大量に届く。親との関係を重視する塾の経営者には「即座に返信するように」と指示されているという
が、「すぐに返信すると、やりとりがずっと続く。24時間、働かされている気分だ」とまたため息をつく。

 昨年、大学院の修士課程を終え就職したばかりの才能豊かな女性。「給料はいいが、ストレスが大きすぎる」と転職を考え始めた。次はスマホを使わない仕事がいいという。 (中沢穣)