2018年05月03日
ロシアの街の豊かさは、冬に足元を見れば分かる。除雪の具合に予算事情が表れる。先日、初めて訪れた南部ボルゴグラードでもそれを実感した。
除雪が行き届かない歩道は根雪が凍結し、凹凸が激しい。足元に集中しないと、転んで骨折する危険と隣り合わせ。しかし下にばかり気をとられていると、上からアイスピックのようなつららが落ちてきたりするからロシアの冬はスリリングだ。
ボルゴグラードは目抜き通りでさえ「氷河」の状態。人口100万人の街は旧名スターリングラードで、第2次世界大戦でナチス・ドイツ軍との激戦地として知られる。しかし、戦跡以外に見どころがない。店が少なく、夜は街の暗さが際立った。
日本人にとっても、この街の現状は人ごとではない。ボルゴグラードは6月のサッカー・ワールドカップ(W杯)の開催地で、日本が1次リーグ最終戦でポーランドと対戦する。
W杯までに新ターミナルができるというが、空港到着口のトイレは男女兼用1つだけで、がくぜんとした。スタジアムも未完成。この夏、日本の観戦客が街にどんな印象を抱くのか、不安が残った。 (栗田晃)