2019年02月25日
昨年11月以降の毎週末“花の都”パリは催涙ガスの臭いに包まれた。生活苦を訴えるデモ隊の一部と治安部隊の衝突によるが、破壊行為が目的の「壊し屋」や、暴力行為が目的の黒ずくめ集団「ブラックブロック」の存在も一因だ。
フランス政府は治安部隊を大規模に動員し、デモ参加者の手荷物検査などを実施した。私も取材中に何度もかばんの中身を確認されている。仏西部からデモに参加した3人の男性は「7回目の検査」と閉口していた。
しかし、警察が公表した押収物を見ると納得だ。金づちにバール、筋力トレーニング用のダンベル。さらには、人気の球技「ペタンク」に使う鉄球や、日本刀までも。デモ参加者の持ち物とは到底思えない。
デモの最前列では、泥酔して執拗(しつよう)に治安部隊に暴言を吐き続ける男性や、他の参加者をあおる無政府主義者の姿があった。
ただ、パリ郊外からデモに参加した男性は「40年前から、生活は苦しくなるばかりだ」と言い、暴力行為にも一定の理解を示した。マクロン仏大統領は生活支援策を発表したが、政治不信は一朝一夕に収まりそうもない。 (竹田佳彦)