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上海 送り先で違う切手代

2019年02月26日

 昨年末に年賀状を発送するため上海市内の郵便局に行き、中国国内でも送り先によって郵便料金が違うことに気づいた。

 上海市内は1.6元(約25円)、市外は2.4元、香港、マカオへは4.8元といった具合だ。ちなみに日本へは7元。

 窓口の女性職員に「なぜ国内で料金が違うのか」と尋ねてみた。突然の質問に、職員は「国際郵便の料金は取り決めがあるが、国内郵便は各国が決めている」と面倒くさそうに答える。

 私が「国内で時差が10時間もあるロシアでも、郵便料金は均一だ」と例を持ち出すと、女性職員は「これが中国の特色ある郵便制度」。けむに巻かれた。

 国内均一料金、前払い制の近代郵便制度が確立したのは、19世紀半ばの英国だ。日本では前島密(ひそか)によって明治6(1873)年に導入された。

 中国が遅れていると言いたいわけではない。中国人の助手も「宅配便も距離で料金が違う。郵便も同じことでは」と言うから、送り先に応じた料金設定は中国人の合理性に合致するのだろう。ところで郵便局での支払い手段は現金のみ。スマホ決済が普通の中国社会で、これは断然遅れている。 (浅井正智)