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ワシントン 分断を目の当たりに

2019年02月19日

 首都ワシントンの地下鉄の車内で、薄汚れた服を着たホームレス風の黒人男性が何かを物色するかのようにウロウロしていた。様子を見ていると、ドアが閉まる直前、近くの白人男性に思い切り唾を吐きかけ、車両から飛び出していった。

 事態をのみ込めずに驚く白人男性に対し、黒人男性はホームから中指を立てて挑発し、侮辱的な言葉を叫んでいた。2人は顔見知りでもなく、トラブルがあったわけでもない。差別問題などで白人への憎悪を募らせ、仕返しの意味を込めた身勝手な犯行のようだった。

 白人男性は唾を拭いながら、嫌悪感をあらわに「あの黒人は頭がおかしい」と同意を求めてきた。「理解できない。ひどいね」と声をかけたが、怒りは収まらない様子だった。

 年末だったので、別れ際「ハッピーホリデーズ」と言うと、白人男性は「メリークリスマス」と返した。憎悪事件の直後なので、社会の多様性への配慮から近年使われる表現にしたのだが、白人男性は違った。トランプ米大統領は白人労働者層を意識して「メリークリスマス」の使用を呼び掛けている。それが頭をよぎった。 (後藤孝好)

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