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ニューヨーク 尻尾どこで切れる?

2019年03月05日

 日本への小包を手にニューヨーク市街地の郵便局へ。窓口業務が終わる午後8時まで、あと数分。ギリギリだ。ラベルに宛先を書いて窓口に向かい、10人ほどの列の最後尾に並んだ。

 間に合ったと安堵(あんど)していると「もう締め切りよ」と女性局員の鋭い声。「僕?」。思わず聞き返す。「違う。後ろの女性よ」。振り返ると、しゃがんでラベルに書き込む女性がいた。

 「もともと並んでいたの」「いいえ、見ていたわ」。押し問答が続く。前方の客が不意に同意を求めてくる。「この女性、あなたの前にいたよね」。正直に「分からない」と答えた。

 「1人ぐらい増えても構わないだろ」「営業時間内に局内に入ればOKだ」-。客側から真偽不明な主張や不満が浴びせられても、局員はひるまない。女性は結局「郵便公社に苦情を入れてやれ」という客たちの“激励”を背に帰っていった。

 最後の客となった筆者の小包を処理し「終わったわ」と表情を緩めた局員。丁寧な仕事ぶりが、正当性を主張しているように感じられた。米国での生活は自己主張が試される場面も多いが、今回は安易に客側に立たなくてよかった。 (赤川肇)

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