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上海 やるなら きちんと!

2019年06月06日

 上海支局の中国人助手が朝、出勤してくるなり興奮してまくし立てた。「きのう帰宅途中の地下鉄で2人組の男にバッグを切られた! 東北なまりでニンニクのにおいがひどく、最初から変だと思っていた」

 記者が「けがは?」と聞いたが、それには答えず、彼女は「お気に入りのバッグだったのに…」としきりと残念がる。ともかくけがもなく、バッグに財布を入れておかなかったのは不幸中の幸いだった。

 中国の地下鉄駅では荷物検査をするが、身近でこんな事件があると、検査に意味があるのか疑問に思えてくる。大きな荷物しかエックス線装置に通さなくてよく、ポケットに忍ばせたナイフは見つけようがない。

 高速鉄道の駅では金属探知機で身体チェックも受ける。ただブザーが鳴っても再チェックはおざなりだ。靴やベルトを外させることもある空港の中国国内線とは比較にもならない。

 先日、全国人民代表大会(全人代)取材のため北京行きの高速鉄道に乗ろうとしたら、安全検査が2回あった。やる気のない検査を2回やるより、きちんとした検査を1回やればいいのでは…。 (浅井正智)