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バンコク 「黒」で鳥になった気分

2019年06月27日

 徴兵制があるタイでは毎年4月上旬、運命の「くじ引き」が各地で行われる。21歳以上の男性は一度は参加しなければならない。赤を引けば2年間の兵役、黒なら免除だ。

 バンコクの会場の1つを訪れると、身体検査を終えた106人がその瞬間を待っていた。つぼの中の赤は27枚。赤を引く確率は約25%だ。

 家族が見守る中、それぞれ緊張した面持ちで、つぼに手を入れていく。取り出した紙を軍の担当者に渡し、その場で発表される。歓喜の声やため息が会場内に入り交じった。

 黒を引いたピラワットさん(25)は「鳥のように空を飛んでいるような気分」と喜び、母親のスチャダーさん(62)は「心配で昨夜は眠れませんでした」と胸をなで下ろした。

 雑貨店を経営するタナクリットさん(23)は赤を引き、「心の準備はできているけれど…」。付き添った母親のナルマスさん(57)は「大丈夫よ。私たちがお店を守るから」と、優しく声を掛けていた。

 3月の下院総選挙では、徴兵制廃止を公約に掲げた政党があった。次期政権とともに、若者の明暗を分ける恒例行事の行方も気になる。 (山上隆之)

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