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韓国・安城 ここにもK-POP

2019年07月30日

 ソウルから南方に車で1時間半ほどの京畿道(キョンギド)・安城(アンソン)市は、朝鮮時代に活躍した芸能集団「男寺党(ナムサダン)」の発祥の地。男寺党は数十人のグループで朝鮮半島各地を巡り、打楽器の演奏と激しい踊りが組み合わさったプンムル、仮面劇、綱渡りなどを披露して人気を博していた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも指定されている韓国の伝統芸能集団だ。

 地元の知人が毎週末に開かれている公演に連れて行ってくれた。2012年の世界民俗祝典を機に整備された大きな会場での公演は、出だしで面食らった。出演者が韓国のポピュラー音楽K-POPのような軽快な音楽で踊り、歌い始めたからだ。

 その後はちょっとしたミュージカル仕立て。実際の人物である男寺党初の女性リーダー、パウドギの半生を描きつつ迫力満点の軽業など、伝統芸能が披露されていった。知人によると、「農楽」とも呼ばれるプンムルが、以前の公演と比べてかなり短くなっていたという。

 朝鮮時代の大衆芸能もおそらく、時代に合わせて変わっていった。ならばK-POP風の公演も、正しく伝統を継承しているのだろう。 (境田未緒)