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中国・貴陽 グッドアイデアだが

2019年08月03日

 中国各地に出掛けたとき、シェア自転車に乗って街の中を見て回ることは、私の楽しみの一つだ。内陸部にある貴州省の省都・貴陽で見つけた自転車は、いつも使い慣れたオレンジ色のシェア自転車大手「モバイク」。だが形が少し違う。よく見ると電動アシスト自転車だった。

 「なるほど!」と膝をたたく。貴陽は坂道が多い。平地の北京や上海では電動アシストのモバイクは見たことがない。スマホで鍵を開け、ペダルを数回回すとアシスト機能が利き始める。起伏のある道をものともせず自転車はすいすい進んでいく。

 ハンドルには長方形の小さな台が付いていた。これも普通のモバイクにはないものだ。「放置手機(携帯を置いてください)」と書いてある。スマホをここに置き、ナビ機能を使いながら自転車をこげば、迷うことなく目的地に着ける。携帯台を考案した設計者は、利用者の便を考えたに違いない。

 しかし中国でも、ながらスマホは社会問題になっている。携帯台はながらスマホにおあつらえ向きだ。設計者の意図を外れ、「マナー違反を助長するだけじゃないか…」と思わずにいられなかった。 (浅井正智)