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ニューヨーク 米国版ニセ電話詐欺

2019年08月18日

 まさか自分が。詐欺の被害者がそう語るたび、どこか人ごとのように聞いていたのだが…。

 「こちらは社会保障局です。不審な取引が見つかり、あなたの社会保障番号を凍結しました」。地元ニューヨークの電話番号からかかってきた「ロボコール」と呼ばれる自動音声。ロボットによる詐欺など思いもよらず、「確認したい場合は1を押してください」という指示にまんまと従ってしまった。

 ロボットから代わった男によると、筆者の社会保障番号を使い多数のクレジットカードが作られたという。「こちらから社会保障番号は聞きません」と警戒心を解く念の入れよう。「解決には弁護士の委任が必要で…」と切り出されたところで、ようやく不審に気づいた。

 消費者保護を担う米連邦取引委員会の3月の発表によると、社会保障局をかたる電話は昨年1月以降で6万3000件報告され、うち3%が実際にお金をだまし取られた。被害額は1600万ドル(約18億円)に上る。

 いわば米国版ニセ電話詐欺。「手を替え品を替え」と形容される詐欺の手口だが、異国では「所変われば品変わる」との意識も欠かせない。

 (赤川肇)