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ワシントン 迫るパンダ返却期限

2019年08月24日

 米首都ワシントンの国立動物園を8年ぶりに訪れ、パンダのオス・テンテン(添添)、メス・メイシャン(美香)に再会した。といっても見分けがつかないし、さらにもう一頭いる。

 「こっちがメイシャンで、こっちが息子のベイベイ(貝貝)だよ」。大きな一眼レフカメラを片手に地元のクレッグさんが教えてくれた。毎週パンダの写真を撮って、動物園の求めに応じて寄贈もしている。1972年、ニクソン大統領が電撃訪中し、友好の証しとして動物園に初めて2頭のパンダがやって来て以来の熱烈なファンだ。

 思えば8年前の1月も、当時のオバマ大統領と訪米した中国の胡錦濤(こきんとう)国家主席が「パンダ外交」を展開。返却期限が迫っていたテンテンとメイシャンの貸し出し5年延長で合意し、ワシントン市民は大喜びだった。

 2015年8月にはベイベイが誕生。両親2頭の滞在期間はさらに20年12月まで延びた。一方、ベイベイの返却期限は誕生から4年で、今年の8月に迫る。米中両国は今、貿易戦争のさなかでパンダ外交どころではない。ベイベイはこのまま帰国してしまうのか。考えてしまった。

 (岩田仲弘)