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米ローズタウン 自動車の村の命運は

2019年09月20日

 壁のタペストリーに懐かしい車を見つけた。米オハイオ州ローズタウンの村長室。思わず「あっ」と声を上げると、アルノ・ヒル村長(66)が相好を崩して語り始めた。「そうだよ、これは日本に輸出していたんだ」

 トヨタ・キャバリエ。米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)がローズタウン工場で生産し、1996年から4年間、トヨタ自動車に供給した。どことなく日本車とは違うデザインが目新しかったアメ車は、日米自動車摩擦の産物でもあった。

 半世紀を超える歴史がある工場は、小型セダンの販売不振で3月に操業を中止した。トランプ大統領はGMの最高経営責任者(CEO)を名指しし、「速やかに売却するか何とかするよう彼女に求めた」と息巻いた。

 工場周辺の住宅地には、2種類のヤードサイン(庭看板)が目立つ。GMに工場の存続を訴えるものと、地元を去る住民が多いことを物語る中古住宅の「売り出し中」だ。「これから工場を誰がどうするか。私たちには分からない」。タペストリーを前に見せた誇らしげな笑みとは裏腹な村長の表情。村の命運は村の手が届かないところで決まろうとしている。 (赤川肇)

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