2019年11月07日
韓国南東部・大邱(テグ)市の山の中腹にある古刹(こさつ)を訪ねた。豊かな緑に囲まれた広大な敷地に本殿などが点在し、厳かな雰囲気。だが境内に入ろうとして、一緒に行った日本人の友人が声を上げた。「お寺なのにATM(現金自動預払機)がある!」
韓国の寺には、たまにATMが置かれている。しかも入り口近くの結構、目立つ場所にある。韓国は日本に比べてかなりのクレジットカード社会。ある有名カフェチェーンでは、現金での支払いができない店舗まである。飲食店で割り勘をする際も、人数分のカードを店の人に渡せば、割り算してそれぞれのカードで決済してくれる。
というわけで、韓国人は大金を持ち歩く習慣がない。さすがにお布施は現金で納めるので、うっかりした参拝者のためにATMが必要ということらしい。確かに大切な願い事をするためにはるばる山の中まで来て、お布施がなかったら大変だ。
そんな話を韓国人の友人にしたら、「うそだと思うけど、カードで献金できる教会があると聞いたことがある」と言う。まさか、と笑いながら、「いや、ひょっとして」と顔を見合わせた。 (境田未緒)