【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. アメリカ・カナダ
  5. 米マンチェスター 市民へも攻撃の矛先

米マンチェスター 市民へも攻撃の矛先

2019年11月21日

 耳をふさぎたくなるような大音量のロック音楽が響き、赤や青の光が揺れる。1万1000人収容の屋内アリーナをほぼ埋め尽くした人々がカメラを掲げ、主役の登場を待ちわびる。8月の平日、米東部ニューハンプシャー州の最大都市マンチェスター。コンサート会場ではない。2020年の大統領選で再選を目指すトランプ氏の選挙集会だ。

 前回選は得票率0.3ポイント差で敗れた接戦州。開演6時間前、会場周囲にはおなじみのスローガン「米国を再び偉大に」の帽子姿の支援者が長蛇の列をなしていた。隣州から来た男性(68)は、トランプ氏が「国民の敵」と批判するCNNテレビなどを「誤導メディア」と名指しする自作の看板を掲げ、「彼らには見境がない」と同調した。

 矛先は報道機関だけではない。集会中、反対派の人々が連れ出される騒動があり、それを見たトランプ氏は「あの男は肥満が深刻だ。帰って運動しろ」と発言。聴衆の笑いが漏れる。大統領が市民をつるし上げる異様な光景だった。ちなみに保守系のFOXニュースによると、「肥満」とされた男性は連れ出された反対派ではなく、近くにいた支持者らしい。(赤川肇)