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サンフランシスコ 髪形で差別 今もある

2019年12月03日

 黒人の髪形を理由とした差別を禁ずる米カリフォルニア州法案が可決され、来年1月1日から施行される。この趣旨の州法は全米で初めて。条文には「公立学校」「職場での」「黒人の髪形」という文言が繰り返し出てくる。州法を新しくつくらなければならないほどの差別が依然としてあるのは意外だった。

 黒人の自然な頭髪は縮れ毛だ。そのまま伸ばしてアフロヘアにしたり、部分ごとに編んだりできる。しかし、差別を嫌って薬品や強いヘアドライヤーで直毛にし、白人の髪形に似せようと苦労する人も多い。

 知り合いの黒人女性美容師に聞くと、差別は「ある、ある」と言う。特に就職のときに不利になると。今どき、あからさまに肌の色や髪質を指して不採用を言い渡す事例はないだろうが、求職する側には髪形で不利を感じることがあるようだ。

 別の黒人女性は、45歳まで直毛にしていたが、「これは自分の髪ではない」と思い、縮れ毛のまま整える決心をしたという。今は頭頂に、縮れ毛を直径15センチほどの球状にまとめた髪が乗っている。その彼女も自然な髪を保護する新州法を歓迎していた。 (岡田幹夫)