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ソウル 「好き」と思っていても

2019年12月19日

 ソウルで毎年開かれている日韓の文化交流行事「日韓交流おまつり」を初めて訪れた。行列ができるブースもあり、会場はにぎわっているように見えたが、「去年はもっと長い列ができていた。随分、人が減った」と関係者。輸出管理強化をめぐる日本への反発は、民間交流にも濃い影を落とす。

 生活の中でも関係悪化を実感する。日本人が集まる地域に暮らしているが、近所のコンビニやスーパーでも8月までは店頭に並んでいたビールなど日本製品がついに姿を消した。

 ただ、すべての韓国人が本心から反感を抱いているわけではない。「日本製品はよく使う。ないと生活できない」と話す友人もいれば、別の友人は9月に東京を旅行する。この友人は「周囲には台湾に行くことにしている」と言う。韓国は個人よりも集団を重視する意識が強く、「日本が好き」と思っていても言えない雰囲気があるのだろう。

 そんな中でも、交流おまつりには、日本に関心を持つ多くの韓国人が来場していた。「政治と文化は別。民間の交流は続けるべきだ」。着物体験を楽しんでいた男子学生の言葉に、共感した。 (中村彰宏)