2020年02月03日
「軍事パレードを目の前で見ることができたなんて、本当にうらやましいな」。今月1日、中国の建国70周年を記念して北京の天安門周辺で行われた軍事パレード。取材後に知人女性(35)からそう言われた。
市街地の広範囲を通行止めにして実施したパレードだが、見ることができたのは一握りの人々。大半はテレビで見守った。
人民解放軍の一糸乱れぬ隊列に続き、最新鋭の無人戦闘機や戦車、ミサイルが目の前を通り過ぎる。日本人の感覚からすると物々しく、あまり気持ちのいいものではない。
だが中国の人々にとって、パレードはお祭りのようなもの。テレビ番組ではリポーターが「さあ、今からスタートします」と雰囲気を盛り上げ、軍用車両に飛び乗る兵士たちの姿を、アクション映画さながらに映し出した。観覧席の人たちの中には、記念撮影する人もいた。
祖国を守る頼もしい存在として、軍事パレードを無邪気に喜ぶ気持ちも分かる。だが中国が今後、本当の意味で世界をリードする大国になろうというのならば、国外の人々の目にどう映るのかを、もっと想像した方がいい。 (坪井千隼)