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ロサンゼルス アメ車文化 再考の時

2020年02月04日

 今年のノーベル化学賞に、電気自動車(EV)に活用されるリチウムイオン電池開発に貢献した吉野彰・名城大教授=旭化成名誉フェロー=らが決まった。ロサンゼルスで速報に接し過去の取材を思い出した。

 2000年代後半、シリコンバレーのEVメーカーを訪ねた。加速も良く、音も静か。ガソリン車に比べ環境負荷が少ない。部品も少なく壊れにくく、走行コストも安い。米国でも一気に広がるのでは-。そう直感した。

 だが、現地の投資家は「ガソリン車には、下請け部品メーカー、給油所など多くの人間の生活がかかっている。簡単には広がらないよ」と笑って否定した。それが当時の米国の自動車産業の現実だった。

 あれから10年。温暖化の影響も指摘される熱波や巨大台風、山火事が各地で発生。自動車を巡る環境はずいぶんと変わった。

 米国は広く、買い物や通勤などあらゆる日常生活で、自動車が欠かせない。だが「燃費度外視」のイメージが付きまとう「アメ車文化」は再考すべき時が来たのではないか。そんな思いのするノーベル賞ウイークだった。 (野口修司)