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ニューヨーク 目覚ましにぬれぎぬ

2020年03月09日

 日本の約25倍の面積がある米国は本土だけで大きく4つの時間帯に分かれる。これは時とともに慣れた気もするが、必ず年2回の慣れと面倒を強いられるのが夏時間。3月の第2日曜日に時計を1時間進め、11月の第1日曜日に1時間戻す。炊飯器の修正を忘れると、朝起きても炊けていなかったり(3月)、炊きあがりの音楽で早めに起こされたり(11月)…。

 「デーライト・セービング・タイム」の名称の通り、長い日照時間の有効活用が目的。欧米で普及してきたが、時刻の切り替えによる健康への悪影響や交通事故の増加といった副作用が問題視され、欧州連合(EU)の欧州議会は3月に廃止法案を可決。AP通信などの世論調査では、米国でも71%が年間を通じて標準時か夏時間のいずれかに統一することを望んでいる。

 夏時間から標準時に変わった休み明け。現地スタッフ(25)から遅刻の連絡が来た。いわく「目覚まし時計が夏時間のままだったので起きられなかった。すみません」。夏時間のままなら実際より1時間早く鳴動したはず…と明らかな矛盾を覚えつつ、煩雑な時間制度に免じて今回は大目に見よう。 (赤川肇)