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ソウル 祈祷師たちの繁忙期

2020年03月11日

 11月上旬、ソウル中心部近くの小さな山に登った。途中、何カ所かに祭壇らしきものが設けられ、何やら祈りをささげている人々がいる。同行した韓国人の知人が「ああ、来週はスヌンだから」と声を上げた。

 修能(スヌン)とは、日本の大学入試センター試験に相当する大学修学能力試験のこと。出身大学が就職に大きく影響する学歴社会の韓国では、アイドルから大統領まで受験生応援メッセージを出す一大行事だ。登った山は、韓国のシャーマニズムの聖地のような場所で、ムーダン(巫堂)と呼ばれる人が祈祷(きとう)していた。

 キリスト教や仏教が盛んな韓国で、土着信仰に近いムーダンに不審の目を向ける人は少なくない。弾劾された朴槿恵(パククネ)前大統領は友人女性の霊的な力にもひかれたといわれ、「ムーダンに国政を相談していたなんて」という批判の声が聞かれた。

 だが、ムーダンは今も韓国人の生活に根づいており、街を歩くと白と赤の三角の旗を掲げたムーダンの家を見かける。修能は終わったが、二次試験のある大学もあり、面接や論文に向けた受験勉強は続く。ムーダンも今しばらく、忙しい日が続くだろう。 (境田未緒)

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