2020年03月25日
米サンフランシスコから300キロあまり東に、リゾート地のタホ湖がある。ここはカリフォルニア州と賭博が合法なネバダ州との州境でもあり、カジノ目当ての観光客も多い。道路1本越えてネバダ側に入ると、カジノや劇場を備えたホテルが5、6軒並び、小型ラスベガスの様相だ。
到着した夜、あちこちのカジノをのぞいてみた。どのホテルも1階はカジノ。ガラス戸を押して入れば、途端にギラギラと輝く世界に飛び込む。あるカジノから男女4人が大声で言い合いながら出てきた。と、男性がいきなり同伴の女性にこぶしを振り下ろした。「あんた、何やってんのか分かってるの」「おまえなんか嫌いだ」。賭けで勝った様子ではない。
通行人は無表情で通り過ぎていく。普通の街であれば、周囲を巻き込んで大ごとになるところだが、当地では日常茶飯事なのだろう。
翌朝、街を出る前に「金、買います」という看板が目に入った。カジノで使い果たし、帰りのガソリン代もなくなった人が身に着けている貴金属を換金する店だ。いくらかの現金を手にしても、再びカジノに戻る人が多いと聞いた。 (岡田幹夫)