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バンコク 熱こもる「スースー」

2020年04月02日

 スースー、スースー。脱力する語感だが、タイ語で「頑張れ」「負けるな」の意味だという。憲法裁判所がある法務省の庁舎に、詰め掛けた支援者から、選挙違反に問われた野党党首への応援がこだました。軍政が続いていたタイで3月、民主化への一歩として8年ぶりに行われた総選挙。親軍政の勢力が大多数を確保し、政権はほぼそのまま移行。その中で気を吐いたのが、41歳のこの若い党首が率いる野党だった。

 歯に衣(きぬ)着せぬ、軍や政権批判に格差是正の訴え。本人も金持ちの実業家だが、「富は国民のために」と主張した。眉をひそめる既得権益層は多く、当選後、選管から立候補規定に違反があったと訴えられた。

 事実関係に争いが残ったまま、判決は議員資格の剝奪。がっくりする支持者の前に、法廷から姿を見せた彼は、すがすがしい笑顔。「予想通りの結果だが、皆さんに勇気づけられ、感謝でいっぱい。やらねばならないことは、たくさんある」。身柄拘束や解党命令を含め、試練が待ち受けるが、逆境を力にしているようだ。政治への期待や、そこから湧き出る熱気に久々に触れ、ついスースーと唱えていた。 (岩崎健太朗)

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