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米ケンブリッジ 政治学の泰斗に集う

2020年04月07日

 冷戦終結30年の取材のため、マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大にグレアム・アリソン教授(79)を訪ねた。国際政治学の泰斗で、新興国(中国)が覇権国(米国)に挑戦して戦争に発展する構図の分析は、中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席も強い関心を寄せているという。

 秘書から「日程が詰まっている」と聞いていた。間もなくどこかで見たような背広姿の紳士が研究室から出てきたので、入れ替わるようにして入った。

 難しい表情で書類に目を通す教授の姿を見て「厳しい取材になるかな」と思っていたら、「待たせたね。ジョー・ダンフォードと話していたもので」と一転笑顔に。背広の紳士は今秋退任したばかりのダンフォード前統合参謀本部議長だった。数日前にはワシントンでミリー統参議長にもブリーフしたという。

 500年間の覇権争いを踏まえた教授の話は、奥が深く説得力があり、あっという間に約束の30分を告げるノックの音が響いた。「米中衝突の危機は高まっている」と訴える教授の話を新旧制服組トップはどう受け止めたのか。理論と実践が重なり合う政策決定のダイナミズムを垣間見た。 (岩田仲弘)