2020年05月13日

　夜、帰りがけに立ち寄った行きつけのスーパー。レジに並んでいた白人女性が、洗剤や食料品など、かごいっぱいの品物の支払いを済ませたところで、軽い言い合いが始まった。「どうやって持って帰ればいいの」。両手を広げて訴える女性に、苦笑して首を横に振るタイ人店員。女性が、指さされたエコバッグを渋々購入し、落着した。

　年明けからタイのスーパーやコンビニで、レジ袋を一斉に撤収。環境保護をアピールする挑戦的な試みだが、おおらかなお国柄だけに徹底されるか半信半疑だった。だが、おおむね順調な様子。布袋やバスケットを持参する買い物客が目につくようになった。

　担当省庁と主要テレビ局の間では、視聴者の目に触れさせない協定まで。レジ袋が映ったシーンはカットしたり、ボカシを入れ、存在を忘れさせるとか。

　それでも街中の屋台では、過剰なほどに包んでくれる。決まった方針には一足飛びに突き進むが、どこかちぐはぐなのも、またお国柄か。まだ不便を感じることが多いが、いつしかそれが当たり前になっているのだろう、か。　（岩崎健太朗）