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ニューヨーク 「セサミ」の街の一部

2020年05月14日

 マンハッタンのカフェ。幼児向け教育番組「セサミストリート」で雑貨店主を演じる日系4世のアラン・ムラオカさん(57)は、番組中のアラン役と全く変わらない笑顔で、気さくにインタビューに応じてくれた。

 番組の顔を20年あまり続けてこられたのは、若いころ、アジア系だけで構成されるロサンゼルスの劇団「イースト・ウエスト・プレーヤーズ」で経験を積んだからだという。

 劇団は日米の映画界で活躍した日系俳優のマコ・イワマツさん(故人)らが1965年に結成。アジア系の俳優は当時、武道の達人などステレオタイプな役柄が多く、イワマツさんはアジア系の知名度向上を図るとともに、人種偏見のない多様性のある映画・演劇界を目指した。

 彼を良き師と慕うムラオカさんは「セサミストリートという多様性に富んだ街に、アジア系の存在は重要だが、ことさら民族性を強調したくない。地域社会の一部であることをずっと意識してきた」という。

 ムラオカさん自身、ニューヨークのアジア系劇団で若手の指導をしてきた。イワマツさんの遺産を次世代に-。強い意気込みが伝わった。 (岩田仲弘)