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ニューヨーク 「試合だけじゃない」

2020年06月10日

 米国の公民権運動指導者マーチン・ルーサー・キング牧師(1929~68年)を記念する祝日の1月20日、米プロバスケットボールNBAの下部リーグに当たる「Gリーグ」の試合を初めて見に行った。「意見を言うのを恐れないことを教わった」。試合の合間には、選手らがキング牧師への思いを語ったビデオメッセージが流され、すっかり聞き入ってしまった。

 ニューヨーク市中心部から車で1時間の郊外。観衆は2200人。市中心部で行われるNBAの試合に比べれば寂しいが、迫力あるプレーを20ドル(約2200円)程度で間近に見る満足度は高い。軽快なMCや休憩中のダンスなど客を飽きさせない仕掛けも多彩で、コート脇には卓球台まで置かれていた。

 帰り際、こんなうたい文句が会場に張られているのに気づいた。「試合だけじゃない」。確かに試合そのもの以外でも楽しませてもらったが、さすがに卓球までは…。それとも、試合中にピンポンに興じる観客を見せつけ、NBAを目指す選手らのハングリー精神を呼び起こす狙いもあるのだろうか。「試合だけじゃない」の意味は案外深いのかもしれない。 (赤川肇)