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ソウル 不買運動 本音とズレ

2020年06月09日

 自宅近くで日本メーカーのペットボトルのお茶や缶飲料を安売りしていた。1本30円ほどと破格の値段。普段は日本よりも高価なので、ここぞとばかりに大量に買い込んだのだが、値下げの理由を聞いて複雑な気分になった。「不買運動で売れ残ってしまって」。賞味期限も近づき、たまった在庫を処分するためだった。

 一時のような盛り上がりは見られなくなったが、日本製品の不買運動は年が明けても続いている。ただ、多くは望んで参加しているわけではない。「日本車に買い替えたいが、今は買えない。早く不買運動が収まってくれればいいんだけど」と知人は嘆く。旅行やビールと並び不買の標的となったユニクロでは、人目につく店舗は避けてインターネットでの購入が増えているという。

 韓国では、他人の「顔色」を意味する「ヌンチ」という言葉がよく使われる。何をするにも周りの「ヌンチ」を見ながら行動する国民性。日本に行かないのも、日本製品を買わないのも、周りから何か言われるから。そんな不買運動にあまり意味はないと思うのだが。

 (中村彰宏)