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北京 震災とウイルスと

2020年06月18日

 東日本大震災の後、東京で働いていた香港人の友人が帰国した。原発事故の先行きが見えない中、異国で暮らす不安を考えれば当然の選択だと思うが、寂しい気持ちもした。

 新型コロナウイルスによる肺炎への不安から、北京からも外国人が減った。春節休暇で北京を離れた人が多い上に、感染対策のために休暇が延びたために一時帰国したケースも少なくない。日本人学校も休みが延長され、家族を一時的に帰す動きも広がる。

 私自身の家族もそうだ。8年前と立場は逆になった。中国人にとっても外国人が去っていくのはやはり寂しいことだろうと想像する。家族が帰ったと話すのは少し気が引ける。

 中国の春節は家族が集う大イベントだが、今年は楽しみにしていた帰郷を取りやめ、北京にとどまった人も多い。しかし肺炎を恐れて街に出る人は少なく、北京はとても静かになった。政府の対応への不満を大声で叫べるお国柄でもなく、多くの人が自宅でじっとしている。

 冒頭の友人は数カ月後の夜、「いま六本木にいる」と突然電話してきた。北京にも早く活気が戻ればと願う。 (中沢穣)

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