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ワシントン 1000マイル完走 伝説の人

2020年06月06日

 首都ワシントン近郊で開催された参加者約200人のこぢんまりとしたマラソン大会で、「レジェンド」と慕われる男性に出会った。シンガポール出身のロニー・ウォンさん(73)。約30年間、出場し続けているだけあって、ボランティアや参加者が近寄っては完走をねぎらう。

 フルマラソン完走350回以上。それだけでもすごいのだが「1000マイル(約1600キロ)超のレースに出たことがある」と聞いて思わず身を乗り出した。そんな気の遠くなるレースがあるのかと聞いたら、レジェンドは証拠を持参していた。

 シンガポール紙「ストレーツ・タイムズ」の特集記事。1991年に40代で1300マイル走に出場し、1000マイルに要した「14日間12時間48分25秒」は当時世界ランク18位を誇った。

 酒浸りの生活を続けていた30代、ある日友人から「10キロレースでゴールできたらウイスキーをショットで6杯おごる」と持ち掛けられ、走ってみたら完走できたという。以来走り漬けの毎日。生涯ランナーの師と仰ぐかのように「また会えますか」と聞いたら、3月末、同じ大会に出ることが分かった。再会が待ち遠しい。 (岩田仲弘)