2020年07月05日
1年で最も暑い季節が、間もなくやってくる。そのさなかの旧暦の新年は、もともと仏様や目上の人たちの手に水を掛け、敬い、お清めをする習わしだった。それが暑気払いにぴったりとばかりに、行き交う人同士で水を掛け合うお祭り騒ぎが、今やなじみの光景に。タイの旧正月、4月のソンクラーンだ。
田舎や都会のそこかしこで、バケツや水鉄砲、ホースで水を浴びせ合う無礼講が繰り広げられる。タイ生まれの50代の知人の記憶では、子どものころからの年中行事。そのソンクラーン休暇が、今年は延期になる。
街に働きに出てきている人たちは大挙して帰省し、海外旅行者も押しかける。中国の春節に、新型コロナウイルスが拡散した。二の舞いを避ける苦肉の策に、タイの知人は「正月を延期って変な感じ。クリスマスは動かないし」。でも「今、連休があっても出掛けられないし、むしろありがたいか」と、細かいことにはこだわらない様子だ。
旧正月休みをいつ迎えられるのか、まだはっきりしない。ただ、祭り好きで陽気な国民性。終息後、例年以上の盛り上がりで、この閉塞(へいそく)感を吹き飛ばしてほしい。 (岩崎健太朗)