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ロシア・北オセチア 「電化ちゃん」の国で

2020年07月01日

 ロシア南部・北オセチアの渓谷をタクシーで走っていた。前方にサーモンピンク色に塗られた建物が見えてきた。帝政期からソ連に移行する時代に建てられた水力発電所という。

 窓越しにカメラを構えると運転手に制された。「ダメダメ!逮捕されるよ」

 ロシアでは発電所は国家機密と見なされるという。周囲を高い柵が囲み、監視カメラが無数にある。奥ではタービンの回る音が響いている。

 どんな種類の水車だろう。縦軸式か横軸式か。水力発電所好きの私としては、中を見たくてたまらない。でもウロウロしていると警察にしょっぴかれる。泣く泣くその場を去った。

 現代では当たり前に使える電気も、昔は貴重だった。発電能力は国力そのものだった。ソ連初期、イワンやアナスタシアなど伝統の名前のほかに「電化」(エレクトリフィカツィヤ)という名もはやった。ソ連式のキラキラネームだ。

 100年前の発電所の撮影を禁じる当局には疑問を覚えるが、今も「電力は国家なり」の発想なのだろう。読者の皆さんもロシアを旅行の際、発電所を見つけたら注意を。 (小柳悠志)

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