2020年07月02日
ある晴れた昼、オフィスビルのエントランスをくぐると、大音量の警報音が鳴り響いた。新型コロナが流行してから設置された発熱検査用カメラが、私が左手にぶら下げたハンバーガーの紙袋に反応したのだ。
感染が広がる中でも次々に新技術やアイデアが登場する。ネットではヨガ教室や結婚式が行われ、客が乗車する際に非接触で発熱検査をする「健康バス」なども開発された。日本では「やってみなはれ」という言葉が聞かれるが、「とりあえずやってしまった」というのが中国流だ。
以前、あるホテルでボーイの格好をしたロボットが忙しそうに動いていたので、部屋にあるQRコードをスキャンしてカップ麺を注文してみた。10分後、彼はしたり顔で部屋に現れたのだがカップ麺を持ってきておらず、フロントに電話して再配達を頼んだ。味もいまひとつだったが失敗に動じない姿勢には感心した。
中国の友人に「なぜ失敗を恐れないのか」と聞くと「だって俺たちには失うものが何もない。日本みたいに金もない」と皮肉られた。今ある危機はイノベーションを生むチャンスでもある、と教えてくれているような気がする。 (白山泉)