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ワシントン 春なのに近づけぬ桜

2020年07月07日

 米国は今年、昼と夜の長さが等しい「春分」を例年より一足早く3月19日に迎えた。1896年以来、実に124年ぶりだという。首都ワシントンに春の訪れを告げる桜もそれに誘われるように満開となった。

 1912年に東京市(当時)から送られた苗木を起源とする約3700本の桜は首都のシンボルだ。なかでもポトマック河畔に咲き誇るソメイヨシノの美しさは圧巻で、毎年、桜祭りが開かれるこの時季は多くの市民や観光客が花見に訪れる。

 だが今年は、新型コロナウイルスの感染防止に向けた外出規制のため、恒例の桜祭りは中止に。春分から程なくして河畔も遠巻きに規制線が張られ、容易に近づけなくなった。

 地元紙ワシントン・ポストは3月21日の暮らし欄で、桜の大きな写真を載せつつ、市民に寂しい春の訪れを知らせた。「春が来て日も長くなったのに、私たちは穴に戻れ、と命じられる。その間、草木は私たちの心配や欠乏もどこ吹く風で踊っている」。コラムニストはこう嘆き、やがて散る桜を惜しんだ。日増しに若葉の色が濃くなる河畔の桜を遠巻きに眺めながら共感を覚えた。 (岩田仲弘)

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