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ルワンダ・キガリ 奇跡の復興の今後は

2020年07月22日

 アフリカ中部ルワンダの首都キガリは、消毒液や簡易手洗い所が配置され、新型コロナウイルス対策を徹底していた。1994年に起きた民族間の虐殺で80万人以上の犠牲者が出た国はいま、急速な復興と国民統合の歩みが「ルワンダの奇跡」といわれる。

 土産物店で会った若者は「過去よりも明日のより良い生活を目指した方がいい」と言う。かつては身分証に民族名が記載されたが、民族間の対立をあおるような言動は禁止された。いまだ最貧国の一つだが、首都では誰もが靴を履き、ヘルメット姿で2輪車に乗る。国民総出の清掃日が毎月1回あり、ごみが落ちていない。

 こうした政策はカガメ大統領の一声で決まった。圧倒的人気の一方で、野党やメディアへの締め付けが厳しいとされる。憲法を改正して最長2034年までの在任が可能になり、独裁化を懸念する声も。いずれ政治の安定と民主化の両立という課題が浮上しそうだ。ジャーナリスト志望という学生は言う。「税金の使い道が目に見えて分かるから大統領を信頼している。でも、政治記者になるかどうかは悩ましい」 (奥田哲平)