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バンコク 与党議員のばらまき

2020年08月04日

 強い日差しの中、バンコク最大の貧困地区「クロントイ・スラム」の路上で、数十人の人が列をつくっていた。列の先にあるテントでは、黄色いシャツ姿の人々が、タイ風焼きそば「パッタイ」とみられる紙包みと水を配っている。

 「慈善団体の活動かな」と思ったが、やや違ったようで、地元の事情通に「政権与党の議員たちだよ」と耳打ちされた。なるほど、テントの端に当人らしき写真入りの垂れ幕が張ってある。その近くで老若男女が隙間を空けず並び、密集、密接をつくり出していた。

 タイでは2月、若者に人気の野党が解党処分になったのを契機に、反政府集会が広がり、社会混乱の懸念が持ち上がった。その後、新型コロナウイルスの感染が拡大。3月下旬には非常事態が宣言され、大規模な集会は姿を消した。政権側がこれ幸いと、食事の提供をアピールに利用したのなら、あまりに浅ましい。

 ウイルスによるタイ国内の失業は1000万人規模とも指摘される。最も打撃を受けるのは貧困層だ。影響の大きさを考えれば、一時的なばらまきで収束する話ではない。(北川成史)

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