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ロンドン コロナ禍にみる団結

2020年08月03日

 4月下旬、カメラを携えてロンドンの自宅周辺を回った。新型コロナウイルス治療に奮闘する医療関係者らに感謝を示すため、国民が毎週木曜日に玄関前やベランダで行う行事の取材だ。

 「世話をする人々に拍手を」。開始時刻の午後8時になると、住民たちは屋外へ。医療従事者や警察官らを念頭に、「サンキュー」と叫びながら、拍手だけでなく、鍋などまで打ち鳴らす。通行する車もクラクションを鳴らして盛り上げた。

 英国に住んで1年4カ月。欧米で個人主義が強いといわれるが、言葉の負の響きとは裏腹の国民性を感じる。お年寄りや妊婦に電車、バスで席を譲ったり、荷物を代わりに運んだりする光景を頻繁に目にする。取材した行事も3月下旬から5回目だったが、衰えを感じない。

 取材中、国民の団結や感謝の行動をたたえるかのように、花火が上がり、屋外に出た住民は5分ほどで自宅に戻った。ある高齢女性は静まった空と街を見つめ、「すばらしい」とつぶやいた。つらい生活の中で前向きな気持ちを得たような落ち着いた声音。女性のひと言に、胸が熱くなった。(藤沢有哉)

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