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ロンドン 警察官へ不満の矛先

2020年08月26日

 「みんな、順番を譲ってあげてくれないか」。新型コロナウイルスによる外出制限が続くロンドン。自宅近くの雑貨店では時々、店員がこう呼び掛ける。レジ前の客の行列を飛ばすのは警察官たち。休憩中の腹ごしらえなのか、ピザやパンを買うと早足で店前のパトカーに乗り込む。

 英国の警察官は公園やスーパーの巡回に力を入れる。社会的距離の確保といったルールの徹底のためだ。もちろん、彼らも感染は怖いはず。街の取材で、ある警察官に身分を尋ねられた際、名刺大の記者証を示すために近づくと「2メートルの距離は保ってくれ」と促されたことがある。

 そんな警察官たちが、外出制限のストレスのはけ口になっている。英BBC放送によると、感染者と称する人物が警察官に向けて唾を吐いたり、咳(せき)をする事件が続発。イングランド、ウェールズ地方では4月、警察官ら緊急作業員を狙った計300人以上の容疑者が起訴された。

 雑貨店員が警察官を優先するのは職務の苦労へのお礼からだ。行列の客もほほ笑んで順番を譲り、店内はちょっと温かい雰囲気になる。同様の感謝が広がれば、と思う。 (藤沢有哉)

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