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ソウル 多様性の街 復活願う

2020年09月02日

 ソウル中心部近くの在韓米軍基地に隣接する梨泰院(イテウォン)は、不思議な魅力を醸す街だ。日本の首都圏で例えれば、米兵が目立つ横須賀のどぶ板通りに加え、ファッションに敏感な大人が集う東京の青山、性的少数者が多い新宿2丁目を融合した感じか。

 性別適合手術を受けた女性、アフリカ人の母を持つ青年、懸命に働く元ヤクザ…。多様な個性が梨泰院で交錯するドラマ「梨泰院クラス」が今春、動画配信サービス「ネットフリックス」で世界的な人気を得た。

 そんな梨泰院の象徴ともされるナイトクラブで5月、新型コロナウイルスの集団感染が発生した。防疫で「世界標準になる」と意気込む韓国で、密閉、密集、密接の3密がそろう環境でダンスをしていた若者に非難が集中。市長は即刻、一帯のクラブの営業停止を命じた。

 措置は仕方ないが、クラブ文化を否定してほしくない。私は十数年前、大学の卒業論文で、クラブは近代以来の白人支配層の芸術に対抗するDJやダンス音楽を育み、少数者に寛容だと書いたことがある。そうした価値を体現してきた世界の街の1つが梨泰院だと思う。どうか、復活してほしい。 (相坂穣)

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