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カイロ 人種差別問題の矛盾

2020年09月10日

 新型コロナの影響による「コロナ太り」を防ごうと、毎朝近所を歩いている。時折、アジア人ということで「コロナ」と呼び掛けられる。若者が無自覚にからかっているだけなので無視するが、少し傷つく。そんな経験を知人女性に話すと、「日本人は差別された経験がないのね。欧州では、ヒジャブ(女性が頭髪を覆うスカーフ)をしているだけで白い目で見られる」と返された。欧州の一部では10年ほど前から、公共の場で顔を覆うものを着用するのは禁止だ。

 信仰の自由を侵害し、宗教差別は明らか。その欧州や米国で、黒人に対する暴力や構造的な人種差別の撤廃を求めるデモが繰り広げられている。中東諸国で共感を示すデモがほぼ起きないのは、理念と現実の矛盾をかぎ取っているかもしれない。

 中東にも構造的な差別は残る。「カファーラ」という伝統的な雇用制度は、アフリカや南アジアが多い外国人労働者が雇用主にパスポートを預けさせられ、心身の虐待を受ける事例も。現代の奴隷制度と指摘される。コロナ禍と「黒人の命も大事だ」と訴えるデモは、置き去りにされた問題を私たちに突きつける。(奥田哲平)

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