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ソウル 日本旅行を疑似体験

2020年09月15日

 大浴場には、岩風呂や五右衛門風呂。朝食も、納豆ごはんや焼き魚、キノコのみそ汁、煮物などがおかわり自由で、部屋のテレビでは日本のドラマやバラエティー番組が流れる。

 「1泊2日で、日本のホテルに行ってきました。日本流のおもてなしは最高ですね」。韓国人会社員の友人がスマホの写真を見せながら、自慢してきた。

 新型コロナウイルスの防疫措置で日本政府が入国制限をする中、日本への観光目的の渡航が難しいことを踏まえた冗談だが、完全なウソでもなかった。友人の宿泊先は、ソウル市内にある日系資本のビジネスホテル。確かに「日本のホテル」だ。

 もともと、日本語を話す職員が多く、韓国語に不慣れな日本人出張者らも多かった。だが、新型コロナの影響で日韓の行き来が難しくなって日本人客が激減した代わりに、日本旅行の疑似体験を目的に家族や恋人と訪れる韓国人が増えたという。

 昨夏、安倍政権の半導体材料の輸出管理強化を受けて激化した日本製品の不買運動や日本旅行自粛は収束していない。韓国で「親日」を声高にできない雰囲気は残るが、隠れファンは意外に多いと思う。(相坂穣)