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パリ 幼稚園ようやく再開

2020年09月12日

 新型コロナウイルスの感染が落ち着いたパリの幼稚園で6月22日、全園児の受け入れが再開された。娘(4つ)を送っていった朝、3カ月ぶりに会う保護者らと「やっと、本当に始まりましたね」と言葉を交わした。

 マクロン大統領は14日、受け入れが22日から「義務」と強調したが、実は疑心暗鬼だった。と言うのも、別件で電話で話した園長は、こう言っていたからだ。「そう単純じゃないんです。市教育当局はまだ衛生指針を示していないし、受け入れられるか分かりません」

 再開して、複雑さが分かった。娘は以前と同じ教室を使えたが両隣の教室は空室で、代わりに少し離れた講堂などを使っていた。授業で使う色鉛筆やノリ、はさみは各自持参し、園内で管理。担任はやんちゃな子供の衛生管理に心を砕いていた。

 久しぶりに友達と会った娘は上機嫌で、少し疲れて帰宅した。「メシャン(いじわる)なルイ君、きょうは優しかった」。娘が愛想を尽かしつつあった仲良しの態度が、長期間の休園で変わったらしい。子供相手に感染予防の徹底は大変だが、子供同士の関係もなかなか単純ではないようだ。 (竹田佳彦)